2017.07.10
実施報告:市民大学マナークリエーション講座
日本橋街大學(4)「串打ち3年、割き8年、焼きは一生、好奇心も一生、笑いも一生」

7月2日、日本橋街大學とTokyo Good Manners Project(TGMP)は『江戸の食 粋マナー講座 第2回「うなぎ」』を鰻の老舗・明神下 神田川支店にて開催しました。タベアルキスト・マッキーさんの講座、落語家・桂夏丸さんの高座により、今回も知的好奇心への刺激と、江戸前の笑いへ。
マッキーさんは鰻の生態、その食文化の歴史や鰻丼が生まれた背景などをおもしろおかしく解説。鰻重の食べ方については、「鰻、お米、山椒という3つの素材をどのように組み合わせるか。それによって味わいが変わる。その数は48通り」と持論を披露し、参加者たちの興味をそそりました。
桂夏丸さんは古典落語『後生鰻』を口演。さらに新作地噺『増位山物語』では、扇子と思いきや隠し持っていたマイクで歌いはじめるというウルトラCも。十八番とあって、その見事な演出と歌唱力で会場を大いに盛り上げてくれました。
会食はおさしみや肝焼き、酢の物など、逸品の連続。そして心待ちの鰻重。名店の鰻を堪能しながら、48通りをいろいろ試した参加者たちは「こういう楽しみ方は新しい発見」「楽しみと味わいがふえる」など、食に対する好奇心の視野を各々の思いで広げてくれたようです。

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関東と関西の割き方に違いがあるとマッキーさん。「関東は背開き。なぜなら江戸は武士の精神が根強かったため、切腹をイメージする腹開きは縁起がわるいと好まれなかった。逆に関西は腹開き。商人たちの町とあって、腹を割って話そうという意味合いが含まれているからです」。また鰻の驚きの運動能力についても触れ、「どんなところでも遡上します。実際にナイアガラの滝を遡上したという記録もあるほどです」

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2018年5月1日より真打ちとして高座にあがる桂夏丸さん。
ピリッと効いてくるブラックユーモアで落とす『後生鰻』と、隠し持っていたマイクを取りだしてその見事な歌唱力でピシッと決める『増位山物語』を高座にかけ、会場を盛り上げてくれました。

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体に染みついたことは“あいさつ”という桂夏丸さん。「師弟関係の厳しい世界。常にあいさつではじまり、あいさつで終わります。あいさつは相手への礼儀、筋道、敬う気持ち。なにごとも問わず、必ず自らあいさつをすること、し続けること。これが私にとっていちばん身近で守り続けたいマナーです」

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「夜のひとり歩きもこわくない。他の国と比べると、この安心感は日本ならでは」と治安の良さを実感しているというベトナム出身のThuong Phanさん。アメリカの大学に通う4年生で、現在は日本企業でインターン中だそうです。
「どの場面においても、まず日本の方の親切心を感じます。とくに驚いたのは落し物や忘れ物がほとんど戻ってくること。とても素晴らしいことだと思います」。そして日本の魅力をお聞きすると「風景、漫画、、、たくさんの魅力がありすぎて回答に困りますね」と楽しそうに語ってくれました。

リンク: 日本橋街大學

過去の日本橋街大學マナークリエーション講座
第1回 「粋マナー、粋な笑い、知的好奇心」
第2回 「伝統文化は遺産ではなく、日常生活で活かしていくもの」
第3回 「江戸情緒溢れる町並み佐原散策 ~神職に学ぶ参拝作法と古民家ランチ~」