Tokyo
024

みんなに愛されるペットの散歩マナー

ペットブームで浮上したマナー問題

街で見かける犬のお散歩シーン。飼い主と犬が楽しそうに歩くのは心なごむ光景だ。現在、保健所に登録している犬の頭数は約650万頭。ペットブームも定着してきたと言われており、お散歩マナーも浸透しつつある。ペットマナーについて注目され始めたのは2008年頃から。ペットOKのショッピング施設やカフェが増えたものの、一方で苦情も多く寄せられるようになった。自治体に寄せられるものは〈1. 鳴き声がうるさい 2. 犬の毛が飛んで来る 3. リードをしないで散歩させていた 4. フンの放置、尿による汚れや悪臭〉など。
そこで、統一した規範が必要なのではないかと、愛犬家たちが集まって設立したのがNPO法人日本ドッグマナー協会だった。

ペットブームで浮上したマナー問題
お散歩中におしっこをしたら水ですすぐ。ニオイ防止や通行する人の気持ちを考えたマナー。

門番から家族の一員へ。変化するペットとの暮らし

「ペットとの暮らし方が変化してきたんです。かつては門番として外で飼われていた犬が、家族の一員として認めれるようになった。家族だから、旅行や外出に連れて行きたい。そうすると、マナーが必要になってくるのです」(日本ドッグマナー協会)
毎日の生活では、防音のサッシやドア、すき間テープなどを使って吠え声など騒音の漏れを防ぐ。ブラッシングはなるべく室内で行い、抜け毛の飛散を防止する。お散歩時には、必ずリードをつけ、短めにもつこと。通行する人の足に絡んだり、リードに気付かずに通行する自転車が転倒する恐れがあるから。また排泄したら後始末をすること。
「フンは道につかないように、トイレシートや新聞紙で受けることが好ましいのですが、さらに言うと、家で排泄するように訓練することがベストです」(日本ドッグマナー協会)
おしっこをした場所は水ですすいだり、ペットシーツで拭き取ってから消臭スプレーをかけるなどの対策をする。車道を渡るときは一旦停止。不意に飛び出して事故の原因にならないように心がけることも飼い主のマナーのひとつだ。

門番から家族の一員へ。変化するペットとの暮らし
リードは短めにもつ。伸縮性のリードを長いままお散歩をさせると、横を通りすぎる自転車が転倒する原因にもなり危険。

ペットと共に生きる社会へ

「行動のその先にあるものを考えて、思いやりと優しさの気持ちを持って行動すること。その点は、ペットも人間も一緒です。全ての人が動物が好きなわけではないし、アレルギー疾患のある方もいる。ペットと一緒に行動できる環境に感謝し配慮すれば、今後ペット同伴可能な場所が増えてくるはず」(日本ドッグマナー協会)
人間とペットの歴史は古い。日本では縄文時代の遺跡から犬を埋葬した痕跡が見つかっており、猫は弥生時代の遺跡から骨が出土している。人間の言葉を理解したと伝えられている聖徳太子の愛犬・雪丸は、現在も奈良の片岡山達磨寺にていねいに祀られている。今や家族の一員となったペット。東京はほかに比べてペットマナーが浸透している都市だと言われているが、さらにマナーを守ってペットに優しい街へ。その気遣いがTOKYO GOODだ。

ペットと共に生きる社会へ
車道に出るときは必ず一時停止。通行する車両に迷惑をかけないだけでなく、ペットの安全も確保する。

データ

いつ始まったの? 2000年代のペットブームにより、2008年頃からマナー問題が表面化。
どこで見ることができるの? ドッグランのある公園や住宅街、ペット同伴可能な商業施設。
おすすめの時期や時間帯は? 朝や夕方など、涼しい時間帯は絶好のお散歩タイム。街に出れば、いろんなペットに遭遇できる。
数字データ 犬の登録頭数:6,526,897頭(平成27年度)(厚生労働省「犬の登録頭数と予防注射頭数等の年次別推移(昭和35年~平成27年度)」より)
注意事項 たとえペットを飼っていなくても、街の中で見かけたペットが可愛いからとスマートフォンで無許可に写真を撮りSNSにあげるのはマナー違反。それは人間と一緒なので、ご注意を。

取材協力:
NPO法人 日本ドッグマナー協会
 
参考資料:『ドッグマナーブック』監修 NPO法人日本ドッグマナー協会