Tokyo
021

街のコミュニティ、オープンガーデン

発祥はガーデニングの盛んなイギリス

「オープンガーデン」とは、個人宅の庭や、公共スペースで地域ボランティアが育てた植物を一定期間、広く公開するという活動だ。もともとはガーデニングの盛んなイギリスで始まり、公共団体へのチャリティという目的もあった。日本では、ガーデニングが流行した1990年代後半から日本全国に広まり、現在では各自治体でも開催されている。小平市のオープンガーデンは2007年にスタート。玉川上水、狭山・境緑道、野火止用水、都立小金井公園と、市内をぐるりと一周できる「小平グリーンロード」があったが、緑豊かな環境をもっと知ってほしいと「こだいらオープンガーデン」の取り組みが始まった。

発祥はガーデニングの盛んなイギリス
この看板が庭先にあれば見学OK。

みんなが集まるオープンガーデン

小平市のオープンガーデンに登録しているのは、現在27ヶ所。個人宅の庭のほか、カフェや喫茶店、飲食店などの商業施設や、ボランティアが手入れをする地域の花壇も含まれる。平成29年2月に登録したJA東京むさし小平ファーマーズマーケットは、屋上庭園を一般公開。小平園芸組合が育てた植木や花が、四季折々の美しさを見せている。ここにはベンチや休憩室が設置されており、お年寄りが散歩のついでに立ち寄ったり、ベビーカーを引いた若いお母さんが赤ちゃんと花を楽しんだり。JAでは苗木も販売しているので、苗の植え方や庭のレイアウトを参考にする人も多いのだとか。

みんなが集まるオープンガーデン
JA東京むさし 小平ファーマーズ・マーケットの屋上庭園。

緑を通して生まれる会話

オープンガーデンの初期メンバーでもある井上さんの庭は、たくさんの鉢植えが美しく花を咲かせている。ご主人が趣味の木工を生かして、廃材をリサイクルして作った鉢に、トールペイントのアトリエを主宰する奥さんがデコレーション。「次は何を植えようか」と夫婦で相談しながら作り上げた庭には、市内のみならず県外など遠方から訪ねてくる人も多いという。「子どもが小さかった頃に乗った三輪車、お蕎麦屋さんが使わなくなったこね鉢、ボランティア団体で使った釜炊き鍋も、実は鉢にリサイクルしているんです。訪ねてくださった方に説明すると、みなさん驚かれるんですよ」と井上さん。オープンガーデンの仲間が遊びにくると「次はうちもこうしよう」とアイデア交換することも。家族や仲間、初めて会う人も、緑を通して気持ちが繋がる。みんなのコミュティが生まれるオープンガーデンはTOKYO GOOD。

緑を通して生まれる会話
思い出の三輪車もすてきな鉢植えに。
古い蕎麦のこね鉢をリサイクル。

データ

いつ始まったの? 1920年代、イギリスの「National Garden Scheme」が個人の庭を紹介したガイドブックを発行。オープンガーデンへの入場料は医療へのチャリティなどに寄付された。
どこで見ることができるの? 全国の自治体で開催。小平市のオープンガーデンは市のホームページで、開放日を公開している。また開催中の庭は「OPEN」の看板が掲げられている。
おすすめの時期や時間帯は? 春から秋まではたくさんの種類の花が咲く。冬にはクリスマスローズを育てているお庭もあるので、通年楽しめる。
数字データ 過去1年に園芸・庭いじり・ガーデニングをした人の割合:東京都23.3%(全国平均26.6%)
総務省『平成28年社会生活基本調査』より)
注意事項 個人の庭は、オーナーの好意により公開されているため、各ガーデンのきまり、マナーを守って見学しよう。