Tokyo
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ピクセルで気持ちを表す絵文字

MoMAコレクションになった〈EMOJI〉

2016年ニューヨーク近代美術館(MoMA)が1999年にNTTドコモが開発した「絵文字」を収蔵品に加えると発表した。コレクションされたのは、当時iモードとともにリリースされた176種類の絵文字。「12ピクセル×12ピクセルのマスターピースが視覚言語を成長させた」というのがその理由だ。
176字の絵文字は、当時文字数に制限のあったメールを、より豊かに、iモードのコンテンツをより楽しめるようにと文字のひとつとして開発されたものだ。1999年以前はメールを送るにも3行程度が限界だったが、iモードのサービス提供開始と同時に画面が格段に大きくなった。それなら何か画像も入れられるのではないかと、メールのテキストに添えられる笑顔や泣き顔、ハートマーク、コンテンツに加わると予想されていた星占い、天気、ニュース、街情報などのマークを追加できる機能が搭載された。

MoMAコレクションになった〈EMOJI〉
MoMAでの展示風景。©The Museum of Modern Art, New York

元祖はポケベルのハートマーク

ドコモがメールに気持ちを添える「絵文字」が必要だと考えたのは、携帯電話以前の「ポケットベル(通称ポケベル)」がきっかけだった。数字をテキスト変換できるポケベルにハートマークを追加したところ、ユーザーから大好評だったという出来事があったのだ。テキストだけなら誤解を生みやすい表現でも、メッセージにハートをつければ和らいで見える。その経験をヒントに、街で見かけるピクトグラムやマンガに登場する記号(漫符)、情報誌で使用されていた記号などを参考にして、イラストを描き、それをピクセルで表現した。多くの人が一目で認識できるように、シンプルで普遍性の高いデザインを心がけたという。また、絵文字のきっかけとなったハートマークは、揺れるハート、割れたハート、2つ重なったものなど5種類が用意された。

元祖はポケベルのハートマーク
(左)2004年に発売されていた「P900i(FOMA)」 (右)2002年に発売された「P504i」

人とのつながりを感じるコミュニケーションを目指して

絵文字が登場してから18年。携帯電話の進化やスマートフォンの登場により、より複雑で細かい描写も表示できるようになり、現在、ドコモの携帯・スマートフォン・タブレットには、698の絵文字が搭載されている。
また携帯電話の普及に伴い、ユーザーも多様化した。生まれたときからスマートフォンが存在していた10代から、時代の変遷を見守ってきた80代まで、誰もが1人1台携帯電話を所有する時代になった。ドコモは誰もが同じようなユーザー体験ができるように、コミュニケーションサービスをデザインしてきた。「いつでもどこでも人や世界とつながっていることを感じられること。それを大切に育み続けたいと考えています」。たった一文字分のスペースで、人と人の気持ちをつなげてきた。そんな絵文字はTOKYO GOODだGOOD
 
 

人とのつながりを感じるコミュニケーションを目指して
MoMAに収蔵された176字の「Emoji」。©NTT DOCOMO, Inc.

データ

いつ始まったの? 1999年、ドコモのiモード提供開始から。
どこで見ることができるの? 携帯電話のディスプレイと、ニューヨーク近代美術館。
数字データ 登録絵文字数:698字(2017年現在)
注意事項 メールはコミュニケーションのひとつ。送る相手への思いやりを大切に。

取材協力:
NTTドコモ
 
参考資料:MoMA