2017.12.20
実施報告:市民大学マナークリエーション講座
丸の内朝大学(2)「丸の内で考える防災とグッドマナー」

日本人にとって親しみのある“風呂敷”、防災の備え“缶詰”にスポットをあてた『丸の内で考える防災とグッドマナー』講座。丸の内朝大学とTokyo Good Manners Project(TGMP)は12月4日、今回のマナークリエーション講座を第1部「ふろしきと防災」、第2部「食と防災」の構成で開催。受講者たちはワークショップやセミナーを交えて、災害時に役立つ知恵を学びました。

第1部:ふろしきと防災

講師のつつみ純子先生(風呂敷文化研究家)。受講者たちは導入として、風呂敷の紋様や素材、サイズについて、また基礎となる包み方、結び方を学びました。
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ワークショップではグループにわかれ、つつみ先生からのお題に受講者たちも熱中。物を運ぶ袋、小さい子どもやペットを抱えるスリング、怪我の応急措置や身を守るためのレスキューアイテムなど、ふろしきで賄う防災、災害時の用途あれこれを試行錯誤――グループごとに発表されたそのアイデアの数々につつみ先生も絶賛。
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ストレッチャーとして活用。
結び方の注意点として、つつみ先生は必ず真結びにすることを挙げました。靴紐を結んだときに見かける十字を描く縦結びは解れやすく危険。

つつみ先生の実演のもと、リュックサックやシャワーといった道具にも変化していくふろしきに受講者たちから驚きの声も。
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風呂敷2枚で作ったリュックサック。災害時に物を運ぶ際は両手の自由を心がける。

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防水加工が施された風呂敷を使用すれば、サイズによって6~10ℓの水が運べるそうです。

講座の締め括りは“隠し包み”を実践。縁起物を相手に渡す際、結び目を解く=縁を解くという意味合いとなるため、結び目を隠すという包み方で、つつみ先生は「結びは品を丁寧に扱うため、それを隠すことは縁が切れないようにという思い。同時にふたつの心遣いが生まれます。このそこはかとない相手への思いやりは日本人ならではだと思います」。と話す。
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隠し包みを練習する受講生。
見た目にも美しく、思いやりやマナーが伝わり、日本人らしさがいちばん表現されているとつつみ先生。

第2部:食と防災

講師に黒川勇人(缶詰博士)氏を招き、缶詰にまつわるセミナーが行われ、缶詰の文化や種類、缶詰から地域活性化へつながる内容をおもしろおかしく解説しました。
また、防災食の備えとして適切な品揃えは、「朝、昼、晩でメインとなる食材、栄養補助としての野菜ジュース、さらにアルファ化米やパンなどの炭水化物」だと黒川氏。さらに「味気ない缶詰や備えの防災食をひと手間かけてどのようにおいしく仕上げるか。そのヒントこそ郷土料理にある」と語りました。そのなかで黒川氏は、鯖の水煮や味噌煮の缶詰をメインの具材として取り上げ、いくつかの郷土料理を紹介。この日は実際に石垣島のB級グルメ「からそば(汁なしの沖縄そば)」を調理していただきました。八重山そばの袋を開けて、そこへ鯖の味噌煮を加えるだけ。袋のなかで数十秒混ぜ合わせるように揉みこんで出来上がり。
「じつに簡単で火も水も使わない。手も汚れない。栄養も豊富で、しかもおいしい。さらにここ数年でスイーツの缶詰も充実してきている。非常時だからこそ、おいしいという感情を忘れてはならないし、食事から明るい気持ちになることが大切だとおもいます」
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近年、豊富なラインナップになった缶詰。その味わいも受講生たちの間で好評。

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「はらくっつい TOHOKU」は、東北の地域再生の支援活動として生まれた缶詰シリーズ。

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『丸の内で考える防災とグッドマナー』を受講した感想をお聞きしました。
「被災したときの備えや心構え、そして知恵。その学びの場として、今回の素材はとてもわかりやすかったと思います。風呂敷の持つ多様な機能に驚いたし、風呂敷の扱いひとつで伝わる日本人の機微やマナーにふれることもできました。また、私自身は発言をオブラートに包むことがあります。相手の立場になって考えて、あえてそうしています。これは私なりのマナーです」

リンク:丸の内朝大学

過去の市民大学マナークリエーション講座
第1回 「ワークショップ」