2018.04.16
実施報告:市民大学マナークリエーション講座
日本橋街大學(12):『良玄の日本橋「禅」講座“アタリマエにありがとう”』

217日、日本橋街大學は『良玄の日本橋「禅」講座“アタリマエにありがとう”』を日本橋三越カルチャーサロンにて開催。マナークリエーション講座の一環として、Tokyo Good Manners ProjectTGMP)も本講座に協力しました。

講師の泰丘良玄(臨済宗妙心寺派・泰岳寺副住職)氏の講話では仏教のルーツや日常的に使用されている仏教の言葉、お坊さんの名前の由来、修行道場での生活などをわかりやすく、またおもしろおかしく解説。さらに参加者に向けてこんな問いかけも。

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ありがとうの反対の言葉は――?

正解は「アタリマエ(当たり前)」だそうです。「仏教はアタリマエにあるものがどれだけありがたいのか、いろいろな教えをとおしてそれに気づくこと」と良玄氏。「仏教とは心安らかに生きるための智慧袋です」とも。

講話では日常且つ身近な禅的修行の例もいくつか挙げ、なかでも“玄関で靴を揃える”をすすめました。膝を曲げ、手を使い、どんなときでも丁寧に揃える。そうすることで、心は落ち着き、静まるといいます。

本講座ではイス坐禅も体験。「坐禅とは“坐”の字のごとく、自分のなかにいるもうひとりの自分を探すこと」という良玄氏の言葉。参加者たちはその言葉を胸に携え、右手を左手で包みこんでおへその位置、目は半眼。姿勢を調える“調身”、呼吸を整える“調息”、心を調える“調心”という三つ禅定で準備万端。

「背筋を伸ばし、腹式呼吸で息を吐き切ること。調心では、例えば、寒いな、から温かい所に行きたいなど二念を継がないこと」と良玄氏からアドバイス。さらに「呼吸をした際、まず吸い込んだ人は欲の深い人です。気をつけて」とピリッと効く説法も。

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――打物、お鈴が数回響き渡り、そして静寂。参加者たちは五分間でそれぞれの境地へ。

日常でよく使用される仏教の言葉、檀那(旦那)。じつはこれ、インドのサンスクリット語の「ダーナ」という発音を中国で漢字にあてたものだそうで、意味は「布施」だといいます。旦那=布施。「布施とは見返りを求めない施し。つまり旦那は妻に対して見返りを求めてはいけない」と良玄氏。参加した女性たちは相好を崩し、そう説いた良玄氏も含めて男性たちは苦笑い??

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「マナーも然り、どんな事柄にも送り手、受け手が存在します。お互いの役割があり、それが通じ合うことでその空間は和むのだと。日本人のマナーには、そういうお互い様という和の空気が流れているのではないでしょうか。また、例えば、いただきます、ごちそうさま、そしてお茶碗を洗うなど、日常的な修行は数多くあります。身近で簡単だと思うことも、それらを突き詰めてまっとうしていくことはとても難しい。当たり前は難しい。そして当たり前を失って有り難味を感じるのではなく、当たり前を常に意識して感謝する。こういう心がとても大切だと思っています」

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寺社仏閣巡りが趣味という影林さん。今回の「禅」講座の感想を伺いました。

「禅を組みに、お寺に赴くこともあります。床に座って組む、これがいままでの経験。でも今日の講座で椅子による坐禅、また歩行坐禅や寝坐禅もあると知って新鮮な気持ちです。禅にはいろいろなやり方があるのだと、その奥深さにふれられてとても勉強になりました」

マナーについてもお聞きしました。

「例えば、ドアを開けてもらった、あるいはなにかをとってもらったなど、私は相手になにかをしてもらったときには必ず“ありがとう”と言えるよう心がけています。すみませんやお辞儀だけではなく、相手の目を見て“ありがとう”。これが私なりのマナーです」

 

 

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