2017.05.19
実施報告:市民大学マナークリエーション講座
シブヤ大学(2)「遠慮し合わないこと、声をかけ合うこと」

全国には身体に障害のある方が約393.7万人。その中で車いすを必要とする方は約200万人といわれています。しかしながら、街中で障害のある方に会う機会が少ないと感じませんか?
大塚訓平(NPO法人アクセシブル・ラボ代表理事)さんは、「ハード、ソフトの両面において、解消されていない課題が多い。そのため、街にでることを諦めてしまうからなんです」と言います。 Tokyo Good Manners Project(TGMP)×シブヤ大学のマナークリエーション講座『車いすでお茶しない?』(5月13日開催)は、まさに街に誘うきっかけづくり。
なぜなら、大塚さんをはじめとする4人の講師陣から車いすの種類や扱い方を知り得、実際に車いすを体感し、講師陣たちとのフランクな座談会をとおして、受講者たちはそれぞれにアシスト方法を学んだからです。そして何より、いちばん大切なメッセージを受け取りました。

それはお互いに遠慮し合わないこと、声をかけ合うこと。

「遠慮というバリアの解消が、障害のある人たちにとっては街に出てみようと思ってくれるきっかけになります」と大塚さん。そして、こう締め括りました。
「2020年の東京オリンピック/パラリンピック、さらにその先の未来で、障害のある人たちが気兼ねなく楽しそうに街を散策している風景を思い描いてもらえたら」

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4人の講師陣。左から是永小百合さん、千葉俊之さん、野崎圭一郎さん、大塚訓平さん。
NPO法人アクセシブル・ラボの活動のほか、車いす“あるある”などもおもしろおかしく紹介。

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座談会では活発な意見交換も行われました。
– アンケートからの抜粋 –
・ハード面も大切ですが、ハート面なら即日変えて行くことが出来ると思った。(30代・男性)
・何が困っているのか、実際に生の声が聞けてよかった。社会は私も含めて知らなすぎると思った。(40代・女性)
・車いすユーザーは決して珍しくないということを知れば、多くの人の意識は変わると思った。(30代・男性)

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車いすの乗り方をレクチャーしていただきました。
あらぬ方向へ移動してしまったり、勾配の緩いスロープを降りることをためらったりと、はじめて乗る受講者たちはハンドリングの難しさに右往左往していました。
「こういう体験をしたからこそ、車いすの方の目線がわかるし、それによって声をかけるタイミングもわかる」と受講生たちは声を揃えました。

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NPO法人アクセシブル・ラボの今後の展望を教えてください。

NPO法人アクセシブル・ラボ代表理事・株式会社オーリアル代表取締役大塚訓平さん:オリンピック/パラリンピックには、障害のある方が海外からもたくさんいらっしゃいます。だからこそ、“ハードのバリアをハートで解消する”精神で2020年に関わる。そこでぼくらにしかできないノウハウを活かせればと考えています。そしてそれは東京という街を、世界のどの都市よりもアクセシブルな都市に成長させるということ。そこからは障害のある者たちの目線もはっきりとしたカタチで見えていなければならない。これはGood Mannerにも、おもてなし精神にもつながっているとぼくは信じています。

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この日はあいにくの雨。晴れていれば、実際に車いすに乗り、“渋谷散策&カフェでお茶”をする予定でした。
「今回はお茶できませんでしたね~」と大塚氏。シブヤ大学の吉川さんは「いつか絶対リベンジします!」と約束してくれました。

リンク:
シブヤ大学

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