2017.09.19
活動報告:『SHIBUYA BOSAI FES 2017』に参加
新たな取り組み“防災マナー”を発信

災害時の対策等とマナーをかけ合わせた“防災マナー”。Tokyo Good Manners Project(TGMP)は、その周知と防災意識を高める活動を新たにスタート。様々な災害支援活動を行っているアルピニスト・野口健さんの協力をいただき、『SHIBUYA BOSAI FES 2017(渋谷区総合防災訓練)』(9月2日、3日開催)に参加、その一歩を踏み出しました。
TGMPのイベントでは、メインステージ(代々木公園イベント広場)において渋谷区長・長谷部健氏とのトークショーが行われ、防災マナー、災害支援活動での経験や普段の備え、アウトドアからつながる防災術、自治体として取り組む防災について、さまざまな意見が交わされました。またTGMP防災マナーブースでは被災地のテント村を再現。テント、段ボールベッド、簡易トイレの有効性、さらに災害時に役立つグッズの紹介も、野口健さんにご自身の経験を絡めながら語っていただきました。

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アルピニストと渋谷区長が語る防災マナートークショー

「いかに寛げる空間をつくり出せるか」。これこそ被災地で最も重要なことだと野口健さん。「テントとタープでつくる空間はプライベートを守り、ひと家族が安心して暮らせる。気持ちに落ち着きが戻れば、まわりにも気配りができるようになる。これがやがては助け合い、支え合うことにつながり、被災地復興の大きな糧になる」と、ヒマラヤや災害支援活動の経験も織り交ぜながら説明しました。長谷部区長もテント村の有効性について述べ、さらに「被災された方から情報を集めて、住民の防災に役立てていくことも自治体の役目」としました。また「個々の自治体では限界もある」とし、食糧や生活備品などのストックの課題なども挙げ、その改善案として自治体間、都市間の連携の必要性を説きました。
防災における重要なポイント、また自治体が取り組む防災についても様々な意見が交わされました。「アウトドアは自然のなかに身を置くのでイレギュラーも多い。でもそういう経験から生命力を高める知恵、生き抜いていく術が増える」と野口健さん。アウトドアは防災にもつながる最も楽しい学びの場だとしました。「野口さんのいうとおり、楽しみながらでいいと思う。今回のフェスも去年から規模も内容もパワーアップしています。こういうイベントをとおして防災の研究が積まれ、防災意識を高めていくことに渋谷区としても尽力していきたい」。
そして、防災マナーについて。
長谷部区長は「いざ被災したとき、フレンドリーな関係や感覚が相手への思いやりや気遣いにつながり、またその場のマナーもうまれてくる。だから地域住民と顔見知りになることが大切。渋谷区として、そういう身近な支援もやっていきたい」。
野口健さんは「被災という状況下で、お互いにそのルールがその場に適しているのか、果たして正しいのか。被災したときのことをよりリアルに想像して、ときにルールよりも優先すべきことをお互い共有しておくことこそがマナー」だと語りました。

TGMP防災マナーブースにテント村を再現

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野口健さんよりテント、段ボールベッド、簡易トイレの有効性の説明、さらに災害時に役立つグッズも紹介していただきました。

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電力や電池を必要としないソーラーLEDライトランタン。柔らかい灯りが気持ちを落ち着かせると野口健さん。またヘッドライトがとても役に立つとも。「両手が塞がらず、角度調整も可能。視線と同じ方向を必ず照らしてくれるので防災の備えには欠かせない」。

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クッション性が高く暖かい。また収納もできるし、移動する際も畳めばかさばらない。「メリットがたくさんある」と野口健さん。この日、実際に段ボールベッドを体験した方からは「思いのほか寝やすくて驚いた」というコメントも多く寄せられました。

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「避難所では必ずトイレの管理者を立てることが必要」としたうえで、「トイレに行くことを避けて、水分を摂らない方も多い。それは健康上とても良くないこと。簡易トイレは進歩していて、ラップに密閉して可燃ごみに出せる。臭いもなく、衛生面の心配も少なくなってきている。トイレ環境の改善も被災者の精神的ケアにつながっている」。

【防災マナーのコンセプトをパネルで紹介】
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「備える人」はきっと、「助ける人」になれる。
今回の防災マナーでは、まずは備えるためのマナー「思いやりの備蓄」「避難経路を知る」など、4つのマナーを提案しました。

【TGMP防災マナーブース】
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TGMP防災マナーブースには約600名が訪れました。
テントとタープでつくった空間に身を置いて、訪れた方はグッズを手に取り、また段ボールベッドを体験しながら各々で感想や意見を交わしていました。
またプラグインハイブリッド車が災害時の非常用電源(満タンでは1週間以上)に変わるという野口健さんの説明もあり、展示された車の性能やスペックをメモする方も多く見られました。

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アウトドアを趣味としているご家族。防災の備えについてお聞きました。
「被災した場合、アウトドアで得た知識や知恵が必ず活きてくると思います。それがぼくら家族にとっては大きな備えだと考えます」。また防災マナーについては、「お互いにできること、困っていることを共有したい。人とのつながりと思いやりがマナーだと思います」