2019.03.20
実施報告:市民大学マナークリエーション講座 自由大学: 『Tokyo Good Manners Project × 自由大学 What’s the matter now!? 第1回目 フードロス』

Tokyo Good Manners Project(TGMP)×自由大学のマナークリエーション講座『What’s the matter now!? 第1回目 フードロス』が2019年2月10日に、永田町Grid 5F midorisoにて開催されました。
2019年2月から新たにスタートする講座What’s the matter now!?  シリーズ。主催である自由大学講師の本村拓人さんが、デザイン、サイエンス、テクノロジー、アートなど、その時に最もタイムリーなテーマとその課題を取り上げ、様々なゲストと一緒に解決の糸口を探るセッションです。
記念すべき第1回目のテーマはフードロス。
UMAMI LABを主宰する望月重太朗さんをゲストに招き、クリエイティブの力を活用しながら問題解決に迫る方法を、180分、集まった参加者ら考えました。

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冒頭は、本村さんより、今回のテーマ設定に至った経緯や現状、そこでなぜクリエイティブの力が必要なのかについて簡単なイントロダクション。毎年1兆円もの予算を食品廃棄に充てている日本の現状を大きな問題として捉え、それを個人個人のレベルにまで落とし込んで解決に向けたアクションを起こしていくためには、義務感ではなく、楽しいという気持ちを喚起することが不可欠。そのために、現在こそクリエイティブの力が求められていると本村さんは力強く訴えました。

その後、立命館大学フードマネージメント学部の石原来美さんによる、フードロスと日常生活に関するプレゼンテーションを基調に、各参加者が、今回の講義に興味をもった動機や問題意識を語り合いました。

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学生やエンジニア、医者、デザイナ−など、参加者のバックグランドは多種多様。それぞれの立場からどうフードロスの問題に接近し、どう解決しうるのか、様々な意見が取り交されました。

中でも、「フードロスの問題は、日本人の働き方やライフスタイルと密接に連動している。サラリーマンのランチの時間は1時間、どうしたって、はやくて安いものを食べるしかない。もはや食事とはいえない。楽しみながら、体にいいものを食べるという、サステナブルな改革を起こすためには、時間がかかる」という料理人の方の意見は、フードロスの根深い問題に思いを巡らすよい提起となり、議論は活発に。

後半は、メインゲストの望月重太郎さんが登場。表層だけでなく、人々の営みや行為、社会システムまでをデザインの領域として捉え、デザインを通じて、社会の様々な課題を解決していく活動をしています。

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さっそく、クリエイティブの発想を活かしてフードロスの問題解決をはかるために実践しているUmami Labについてプレゼンテーション。

出汁を取る行為が面倒で、日常生活の中から出汁を取ること自体がなくなっている現状を変えるため、出汁を取る方法を見直せないか、もっと楽しく出汁を取れないかと、サイフォンを使って出汁を取る方法を考案。出汁をとった後の昆布や鰹節は、フライパンで煎って、ポテトチップスと合わせておつまみに活用。楽しく、かつ、持続可能な食について、出汁を切り口に一つの解決方法を参加者に提案しました。

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望月さんのプレゼンテーションを受けて、再度、参加者全員でディスカッション。食が持つハッピーな力を引き出せば、自ずとフードロスは減っていくのではと、各々がその場でアイデアを交換し合いました。

食を通じた、楽しい、美味しい、という要素や感情を各自が生活の中で追究すること。それが一番の効力のある解決策なのではないか、と本村さんが統括し、3時間に及ぶセッションは終了しました。