2019.05.16
実施報告:市民大学マナークリエーション講座 自由大学「Tokyo Good Manners Project×自由大学 Urban Gentlemanの作法 間の掟。心揺さぶる距離感のこころえ。」

2月17日、自由大学とTokyo Good Manners Project(TGMP)による「Urban Gentlemanの作法」の講義第四弾が「みどり荘 永田町」にて開催されました。

_OTS6511

講義四回目のゲストは、茶道家の武井宗道さん。2011年、武井さんは、武家茶道である遠州茶道に入門します。2013年に独立してからは、流派にとらわれることなく「茶の湯」の魅力を発信しています。講義では「間の掟。心揺さぶる距離感のこころえ。」をテーマに登壇しました。

_X2T1749

茶道や茶の湯では、客人をもてなすお茶会のことを「茶事」といいます。武井さんによると、茶道が繁栄した安土桃山時代の茶事は「命がけ」だったそうです。というのも、客人として招かれるのは血気盛んな武将たちで、明りのない薄暗い数寄屋(茶室)でふるまわれるお茶には敵方が毒を盛っている可能性もあったからです。

また、茶事は「寄り付き」「小間」「広間」と茶室を移動しながら進行していきます。それぞれの茶室では、煙管による喫煙、懐石料理とお酒、お茶がふるまわれます。これらのもてなしについて、武井さんは「ニコチン、アルコール、高濃度のカフェインなど、いずれも人体に影響のある物質ばかり。これらを受け入れることが、おたがいの信頼関係を示す証明になったんです」と話します。このことから、茶事は当時のコミュニケーションツールとして機能していたことがわかります。

茶事の主催者にあたる「亭主」には、お茶の知識や数寄屋建築、庭園づくりなど様々な知識が求められます。テレビやインターネットなどがない時代に、それらの知識を得るには、亭主が実際に体験するしかありませんでした。そのため「茶事は亭主の人生表現の場だったんです」と、武井さん。

_OTS6531

さらに「客人が茶室を移動しないと茶事は進まないから、他者の協力を得てはじめて亭主の人生が完成する」と続けます。亭主と客人が一体となって空間をつくることが、武井さんの考える理想の茶事なのです。

最後に「現代は、個人の個性を磨く傾向にあります。しかし、他者の人生をどう手助けしてあげることも忘れてはいけません。私は、お茶の修行を通してそのことを学びました」と締めくくった武井さん。

趣味嗜好の域を超えて、チームビルディングにも通じる茶の湯の世界。みなさんも一度体験してみませんか?