2020.10.21
実施報告:犬と地域社会のイベント「Hamacho Dog Fest」 ドッグセミナーvol.1「大切なワンちゃんの安心と健康を守るために」

 コロナ禍で家時間が増えたこともあり、犬を飼い始めたという家庭も増えていますよね。中央区の場合、飼い犬の登録件数は年々増加傾向にあり、2018年の統計では約5800頭。この10年でその数は2倍に増えているそう。そこで、「人にとっても犬にとっても住みやすいまち」について考える機会をと、1010日(土)、11日(日)の二日間に渡り、日本橋浜町で「Hamacho Dog Fest」が開催されました。

 イベント初日の1010日は、戌の日。浜町エリアは安産祈願で知られる水天宮があり、と縁があることから企画されたのがドッグセミナーです。1回目のセミナーでは、「大切なワンちゃんの安心と健康を守るために」と題し、地元日本橋浜町にある「フーレップ動物病院」の井上龍太院長と「動物と暮らしやすいまちづくり会」の代表、大山幸子さんが犬と人、地域が心地よく暮らすためのアドバイスをしてくださいました。

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「飼い犬の健康管理でもっとも重要なのは、歩き方、食べ方、排泄物、動き方、表情、しぐさ、目、耳の色、足先、舌の色、歯の形など、ありとあらゆる箇所、様子を日頃からよく観察すること」と話すのは「フーレップ動物病院」の井上龍太先生。普段の愛犬の様子を把握しているからこそ、「いつもと違う」と気づき、それが病気などの早期発見につながるのだそう。

 また、幼犬、成犬、シニア犬と、それぞれの年代で気を付けるべきことが変わってくるので、その点も飼い主は要注意。井上先生によると、身体に不調が出始めるのは、7歳くらいから。

「犬の7歳は人間の40歳くらい。人間同様、若いとは言えなくなるこの時期からは、かかりつけの動物病院で定期的に健診を受けることがおすすめです」(井上先生)

一方、家でできる健康管理についてもアドバイス。

「特に気をつけてほしいのがおやつの食べさせすぎ。主食のドッグフードを食べずに栄養バランスが崩れる原因にもなります。また、内臓疾患も引き起こしかねない歯周病を予防するためにも、口の中の衛生管理も飼い主さんがきちんとしてあげること。大切なワンちゃんが健康で長生きしてくれるように、しっかりと気をつけてあげてください」(井上先生)

 セミナーの後半は、「動物と暮らしやすいまちづくり会」の代表、大山幸子さんからペットのための災害対策について語られました。大きな地震や豪雨災害など、いつ遭遇するか分からない災害からいかに大切なワンちゃんを守るか。飼い主にとっては切実な問題でもあります。

 大山さんによると、災害対策としてまず行うべきことは屋内外の災害対策ペット用防災用品の備蓄と準備

「災害対策としては、家具の転倒防止策をきちんと行い、ケージなどペットが逃げ込めるスペースを確保しておくこと。また、自宅周辺のハザードマップを確認し、災害時の避難経路を前もって把握する必要もあります。防災用品として準備しておくものは、水とフード、ケージやキャリーバッグ、トイレ用品、常備薬や療法食、ペットが写った写真。とくにフードは1週間分の備蓄は必須です。というのも、自治体はペットのための備蓄をしていないから。ワンちゃんにとって頼れるのは飼い主さんだけ。その自覚をしっかりもって万が一に備えてください」(大山さん)

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さらに、避難所にペットを同行することを想定し、①「待て」「伏せ」などの基本的な号令に従える ②ケージに嫌がらずに入る ③無駄吠えしない ④他人や他の動物を怖がらない ⑤トイレは決められた場所でする といった日頃のしつけが重要に。

「避難されている他の方にも、そして、ワンちゃんにもストレスを与えないためにもしつけはとっても大切です。また、もしものときの力になってくれる存在として、飼い主仲間を作っておくことも重要。災害時の情報交換、一時預かりの相談などをし合える関係性をしっかりと構築しておきましょう」(大山さん)

 病気やケガ、災害から愛犬を守れるのは飼い主しかいない。そのことをあらためて実感することができた今回のセミナー。参加者からは「あまり考えずにおやつをあげていたことを反省。ワンちゃんの健康管理の必要性が身に染みてわかった」「災害時を想定し、備蓄や犬との避難方法の確認を今すぐやろうと思った」などの声も。

人間も犬も安心して暮らせるまちづくりについて、あらためて意識を高くする機会になったようです。

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写真:北浦汐見  文:堀朋子