2020.10.21
実施報告:犬と地域社会のイベント「Hamacho Dog Fest」 ドッグセミナーvol.3「人もワンちゃんも暮らしやすいまちをめざそう」

「犬やその飼い主を切り口に地域のつながりを深める」ことを目的に、1010日に開催された「Hamacho Dog Fest」。日本橋浜町のあやめ第一公園で開催されたセミナーの締めくくりは動物愛護をテーマにトークが繰り広げられました。

 コロナ禍の影響でステイホーム期間が続いたことから、自宅でペットを飼いはじめた家庭も急増。「人と会えなくて寂しいから」「可愛いワンちゃんに癒されたくて」。そうした動機が理由となっているケースも少なくありません。

 古来より続く、人間と犬との関係性の深さを実感する一方で、「飼い犬はぬいぐるみやおもちゃといったモノではありません。大切なです」と話すのは、「動物と暮らしやすいまちづくり会」の代表、大山幸子さん。

「動物と一緒に暮らすことは、命を預かること。ですから、たとえどんな動機にせよ、飼うと決めた以上、飼い主は動物がその寿命を迎えるまで適切に飼育する責任があるのです」(大山さん)

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 犬を飼ったら自治体に登録をし、狂犬病の予防注射を接種させることは国の法律で定められています。また、散歩をさせる際は首輪をし、リードをつける。うんちやおしっこの後始末をきちんとする。東京都ではこれらの二つを怠ると条例違反となり、罰則の対象に。また、今年の6月1日から愛護動物の虐待や遺棄に対する罰則(愛護動物を虐待・遺棄した場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金など)も強化され、社会全体でペットなどの愛護動物への関心が高まっています。

 求められるのは、人間も犬も安心して暮らせる社会であること。そのためには、「マナーを守ることが大切」だと大山さんは話します。

「犬は単に飼い主の所有物ではなく、社会の一員として考え、周囲の迷惑にならないように育てるのは飼い主=人間の役割です。例えば、お散歩で犬同士がはじめて会ったとき、臭いを嗅ぐのは年長者から。犬社会は年功序列なんです。ですから、飼い主さんは自分のワンちゃんが何歳なのかを他の飼い主さんに伝え、出会ったワンちゃんとスムーズにコミュニケーションをはかる手助けをする必要があります。こうしたことを学ぶうえでも、犬を飼ったら、飼い主仲間を見つけたり、今回のようなセミナーやしつけ教室に足を運んで知識を得るのがベスト。人と人がつながることは、人にとっても動物にとっても、万が一のときのセーフティネットになるはずですから」(大山さん)

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 日本橋浜町で動物病院を開業している「フーレップ動物病院」の井上龍太院長も「地域にいる人たちをもっと頼って」と声を揃えます。

「病気以外でも飼育の悩みなどを気軽に相談できる獣医さんやトリマーさんと繋がることもとても大切です。そういった意味では、ここ日本橋浜町は、わんわんパトロール隊など、飼い主さん同士が集う散歩の会などもあり、地域ぐるみでコミュニケーションを積極的にとっているとてもいい街ですよね。動物にも人にも優しい社会、地域は住民みずからが作る。そんな意識が必要なのかもしれません」(井上先生)

 また、今回のイベントで人と犬がコミュニケーションを図れる場のひとつとして、活用されたのが『Hama House』。ドッグカフェとして営業したこの日は、純銀粘土を使ってワンちゃんのネームタグを作るワークショップを開催。約1時間かけて完成したネームタグを愛犬にプレゼントする飼い主さんたちの姿にカフェ内はほのぼのとした雰囲気に。

 今回、「Hamacho Dog Fest」に参加された方々に話しを伺ってみると「浜町界隈は隅田川沿いのドッグランや雨でも濡れずにお散歩ができる公園もあり、犬を飼いやすい地域」と、整った環境に満足している様子。一方で、「これからはもっと、飼い主同士のコミュニケーションを深めて、道路にうんちが落ちていないようなモラルの高い地域にしていきたい」と言った声も。

 犬を飼っている人も、飼っていない人も、そして犬も暮らしやすいまちづくりは、人と人がつながるところからスタート。そんなことを多くの人があらためて知ることのできるイベントになったようです。

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写真:北浦汐見  文:堀朋子