Tokyo
012

気配りのマスク

感染拡大を防ぐマナー

木枯らしが吹き、寒くなってくると目にするマスク姿。通勤時間に多くの人がマスクを着けている光景は、海外からも「キレイ好きな日本らしい」とも言われている。しかし、マスクは風邪やインフルエンザの予防だけではなく、周囲の人を感染させないための気配りでもあるのだ。インフルエンザには潜伏期間があり、自覚せずに感染している可能性がある。また、熱が下がっても一定期間はウイルスが残ることも。知らない間の飛沫感染を防ぐのがマスクなのだ。厚生労働省はインフルエンザ対策として、うがい、手洗い、早めの受診とともに「咳エチケット」としてマスク着用を奨めている。

感染拡大を防ぐマナー
咳が出たらマスクをかける。少しの気遣いで感染防止。

昔は黒色だった。マスクの日本史

日本とマスクのつながりは、江戸時代に遡る。世界遺産になった石見銀山では、江戸末期、鉱夫が防塵のために用いていた。その頃は針金の枠に絹を貼り、柿渋を塗ったり梅肉を挟んだりしていたという。医療や衛生用としては、1880年頃「レスピトール(呼吸保護器)」という名前で、肺やノドの病気や喘息、風邪の患者向けに発売。1918〜1919年頃、スペイン風邪(インフルエンザ)の大流行がきっかけとなり、衛生雑貨として一般に普及した。当時、主流だったのは、金網を芯に黒繻子の布を貼っていたもの。現在、黒マスクが流行しているが、初期のマスクも黒だったのだ。

昔は黒色だった。マスクの日本史
1945年以前の「薬粧マスク」(内藤記念くすりの博物館所蔵)。

ファッションや機能で使い分ける最新マスク

ガーゼマスクが誕生するのは第二次世界大戦後。1980年頃には風邪やインフルエンザだけでなく花粉症対策としても用いられるようになった。2003年に不織布のマスクが登場。さらに、防臭機能のあるもの、ウェットタイプ、花粉捕集率99%の高機能マスク、紐のないマスクなど、次々と機能的でユニークなマスクが発売されている。小顔マスクやデザインマスクなど、ファッションとして楽しむ「伊達マスク」も種類豊富だ。たくさんのマスクの中から、お気に入りを選んでバッグに一枚。咳が出そうになったら、さっと取り出し着用する。それが日本のグッドマナー。

ファッションや機能で使い分ける最新マスク
「マスク呼吸器」の紙看板(小野亀製作所/東京/紙製)(内藤記念くすりの博物館所蔵)

データ

いつ始まったの? 衛生用マスクは「呼吸保護器」として明治期に誕生。
どこで見ることができるの? 薬局やドラッグストアには、高機能マスクから伊達マスクまで様々なマスクが揃う。訪日観光客がお土産に購入することもあるとか。
おすすめの時期や時間帯は? 風邪やインフルエンザが流行する冬の初めから、花粉が落ち着く春の終わりまで。
数字的データ 東京都区部 保健用消耗品平均支出金額:8,023円
(総務省統計局 2015年 家計調査より)
(注:脱脂綿、ばんそうこう、三角巾、包帯などの消耗品が含まれる)
注意事項 海外でマスクを着けると不審者扱いされることも。現地のマナーを確認しよう。

取材協力:内藤記念くすりの博物館
http://www.eisai.co.jp/museum/index.html
参考:
『マスクと日本人』堀井光俊(秀明出版会)