Tokyo
016

思いも運ぶ引越し屋

引越しは新生活への第一歩

春の引越しシーズン到来。進学や就職、転勤などで、慣れ親しんだ土地を離れ、新しい生活が始まる。少しの寂しさと期待が入り混じり、人生の転機ともなるイベントだが、細かい荷造りや重い家具を運ぶ作業はひと苦労。それをサポートしてくれる引越し業者の高い技術が、今、海外から注目されている。特に賞賛されているのは、技術を越えた細やかな気配り。昭和46年に創業したサカイ引越センターでは、高いレベルの技術と知識を身につけたスタッフを「サカイマイスター」として認定。現在、全国で2人いる「サカイマイスター」のひとり、山崎八寿夫さんによると「物を壊さないのは当たり前。どれだけお客様に満足していただけるか」を常に目指しているという。

引越しは新生活への第一歩
薄型テレビは専用のボックスで運ぶ。

進化する引越し道具

家具をスピーディに、安全に運ぶための道具は日々進化を遂げている。以前なら、ひとつずつ新聞紙に包んでいた食器は、独自に開発した「らくらくパンダボックス」にそのまま入れて蓋をするだけ。内側のスポンジが食器をしっかりホールドするから、割れる心配がない。薄型テレビも専用のボックスで固定してから運ぶ。大きくて重い衣装ダンスも、下にプラスチックの薄い板を挟み込み、滑らせるように移動。全ての家具はキルティング素材の梱包材で保護し、ドア、床、壁には養生を施す。本や雑貨を運ぶダンボールにも、ひと工夫。箱の上部と横に、品名と運び込む部屋を書き込む欄があるから、箱に何が入っているのが、どこに運ぶのか一目瞭然。小さな工夫で、新居での荷解きが格段に楽になる。そして、ほとんどの保護材・梱包材は、リユース可能。引越しで生じるゴミは最小限だ。

進化する引越し道具
引っ越し先へ入るときには、新しい靴下に履き替える。

新居へは靴下を履き変えて

引越しは、家の前にトラックが駐車するなど、近所の人や通行人に迷惑がかかることもある。「ですから、技術以前にマナーやモラルは大切です」と山崎さん。挨拶はきっちりと、身だしなみも整える。さらに、新しい部屋に入るときには、新しい靴下に履き替える。それが一目でわかるように、靴下の色を変えているという。「運転技術向上のためにドライブレコーダーの取り付けや、荷物を安全に運ぶ技術や道具の開発も行っていますが、引越しの基本は人と人です。お客様の大切な荷物を運ぶのは、まごころだと思っています」。思い出のつまった荷物を運ぶのは、サービスを越えたGOOD MANNER。みんなの思いやりで、新しい生活がスタートする。

新居へは靴下を履き変えて
たくさんの布を使って家具も壁も傷つけない。
いつ始まったの? 高度経済成長とともにニュータウン計画が進行した1970年代に、運送とともに引越しサービスを行う業者が登場。
どこで見ることができるの? 引越し作業は一年中。進学や転勤が多い春先は見かける確率が上がる。
おすすめの時期や時間帯は? 引越しのハイシーズンは、3月4月の春先。
数字的データ 2016年の市区町村間移動者数:4,880,967人
注意事項 ハイシーズンは車両の予約も取りづらくなるため、早めに計画を立てることが重要。引越しの後は、ご近所への挨拶も忘れずに。