Tokyo
018

定刻どおりの飛行機

定時運航は当たり前?

飛行機に乗ると耳にする「この飛行機はまもなく、離陸いたします」というアナウンス。2015年定時到着率世界1位、2016年はアジア・パシフィック地域1位(※1、2)に輝いたJALは、現在9割近くが定刻どおりに運航している。刻々と状況が変わる気候条件の中、定刻通りに運航するため、どのようなことが行われているのだろうか。実はその秘密は、飛行機が空港に到着してからの数十分に詰まっていた。まず、グランドハンドリングスタッフが機体を駐機場に誘導。機体にボーディングブリッジが装着され、乗客が降機するのと並行して、貨物の積み下ろしと次の便への積み込みが行われる。機体のバランスを保つために、事前に専任のスタッフが荷物の重さを計算。駐機場ではパイロットと整備士による点検が行われ、乗客と入れ替わって清掃スタッフが機内に入る。到着と同時に、次の便の出発への準備が着々と行われているのだ。

※1 FlightStats社:
米国オレゴン州ポートランド、社長Jeff Kennedy氏。2001年設立。世界のエアラインのリアルタイムな運航情報や、路線・空港ごとの統計的なデータを集計・公表しており、同社のデータは海外メディアなどでも広く紹介・引用されている。
※2 定時到着
FlightStats社の基準では、「定刻に対して遅延15分未満に到着した便の全体に占める比率」を示す。

定時運航は当たり前?
到着してすぐにベルトコンベアで荷物が運びだされ、次の荷物が積み込まれる。

機体到着から次の搭乗まで数十分

清掃スタッフは素早く使用済みイヤフォンやゴミを回収し、機内誌の交換や機用品の補充を行う。到着が遅れた場合は、清掃スタッフを増員し、キャビンアテンダント(CA)も一緒に清掃することもある。駐機場では燃料の補充、給電が行われ、駐機場と機内で同時に次の便への準備に入る。その頃、空港内では、乗客が出発の10分前に搭乗口に集合。ゲートスタッフは機内での混雑を避けるため、後部座席から搭乗するような案内や、ゲートへお越しでない乗客の捜索、搭乗のための準備が行われる。フライトに向けた準備が完了すると同時に、乗客の搭乗を機内へご案内。流れるような連携プレーは1秒の無駄もない。

機体到着から次の搭乗まで数十分
機内食などは、専用コンテナで慎重に搬入。

スタッフの気持ちがつまった定時運航

搭乗予定の乗客が大幅に遅れている場合は、空港スタッフとパイロットが連携し状況を判断する。悪天候が予想される場合は、シートベルトサインが点灯する時間が長くなるために、搭乗前にトイレを済ませるように案内。キャビンアテンダント(CA)は揺れの予想時刻をパイロットと共有し、サービスの時間を確保する。そして、全員が着席したのを確認して、機体は動き出す。グランドハンドリングスタッフが機体を誘導路まで牽引し、最後は手を振ってお見送り。安全で快適な空の旅を。そんなスタッフ一人ひとりの気持ちが込められた定刻通りの運航は、世界に誇るTOKYO GOODだ。

スタッフの気持ちがつまった定時運航
機内清掃は全員がマルチプレイヤー。あっという間に清掃と補充が完了する。

データ

いつ始まったの? 1951年日本航空株式会社が設立され、翌1952年から国内線定期航空運輸事業開始。1954年には日本〜ホノルル〜サンフランシスコ線が開設し、国際線の定期航空輸送がスタート。それから、定刻運航への挑戦が始まった。
どこで見ることができるの? 1日平均206,178人利用し(国内・国際合計/2015年)、年間の発着回数が44万7000回を超える東京国際空港では、多くの便が定時に発着する。 (参考:国土交通省「首都圏空港の機能強化について」) (参考:国土交通省「平成27年度(暦年)空港別順位表」
数字でみるJAL JALの1ヶ月の運航便数:23,818便(国内・国際合計/2017年1月1日〜31日) 運航率:98.6%(国内・国際合計) 定時出発率:89.8%(国内・国際合計)
気をつけたいこと 安全で快適な空の旅は、乗客一人ひとりの心がけも大切だ。国内線は出発保安検査場を15分前までに通過する、国際線は60分前までに搭乗手続きを済ませる。それもマナーのひとつ。

取材協力:JAL(http://www.jal.co.jp / http://www.jal.com/ja/